金沢港の再整備について

北陸新幹線開業以来、観光客の数が著しく増え、一部の業界を中心に経済が活性化しています。何よりも目を引きますのはホテルやマンションの建設です。建設ラッシュといっても過言ではないくらいに市街地を中心にビルが建ち始めています。この先も金沢港口のハイハットセントリックや兼六園口の都ホテルの建て替えなど大型物件の建設も控えています。また、これまで飲み会といえば片町が中心でしたが、金沢駅周辺や東山周辺でも最近は洒落た飲食店が出来始めているのを見ますと、街が大きくなってきたなぁと実感出来るひとつの事象です。
こういった中、次なる開発先として注目をされているのが金沢港です。これまで一部で大きな釣り堀と揶揄されていましたが、クルーズ船寄港の大幅増加により客船用岸壁の整備が急がれていたところに、政府が経済対策の中でクルーズ船の受け入れ港の整備を「21世紀型のインフラ整備」と位置づけた事により、国は無量寺岸壁の再整備を前倒し、2020年の東京五輪に間に合う様整備を進めています。整備が完了すれば客船の寄港の増加に加え、南海トラフ巨大地震発生時には太平洋側の代替港としての機能も期待できるものです。そこで、岸壁整備に加えて進めたいのが港周辺施設整備です。県は金沢みなと会館の建て替えを発表し、今県議会にてその概要を発表しましたが、周辺整備に関しては、今現在具他的な方針は決まっていないそうです。国が金沢港の機能強化に前向きな姿勢を示している今こそ絶好のチャンスと捉えるべきで、本市は県と連携しながら金沢港の再整備に向けて積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、現状は周辺整備について何か話し合いが持たれているのでしょうか、お聞きします。
また、こまちなみ保存区域の認定から20年目となる大野地区をモデルに景観向上の取り組みに今年度から着手する事になっていますが、大野町は金沢港に隣接していることから、金沢港の再整備に大きな影響をうける街のひとつです。この機会をとらまえて大野町の活性化につなげたいものですが、金沢港の整備と大野町こまちなみ保存区域との関連性をどう活かすのか、考えを伺います。
私は金沢港の再整備をきっかけに周辺地域を再整備し大野町まで気軽に歩けるような歩道を整備すれば、季節の良い時期には多くの方が港を歩き散策を楽しむことが出来るでしょう。金沢港には「いきいき魚市」や「からくり記念館」などの施設もありますので、周辺地域と一体となった整備が望まれます。現状県に正式なウオーターフロント計画がないと聞いていますので、本市独自でウオーターフロント計画を作成してはどうでしょうか。考えをお聞きします。

水産振興について質問を致します。

本年度からこれまでの農林局を改め、農林水産局となりました。聞くところによりますと本市において「水」がつく部署は昭和24年から27年のわずか4年の間だけ存在したそうで今回は実に約70年ぶりということです。そのお考えを市長に伺います。
水産課をつくった思いは。
これまで何度となく本議上において水産振興について本市の見解を訪ねてきましたが、水産業の支援は主に県や県漁協の役割が多く、本市としては限定的な支援になるというものでした。しかしながら、漁業に関してはその通りですが、魚介類を扱って生業としている方々は石川県においては本市に圧倒的に集中している事から本市の水産業に関する影響は決して小さいとは言えず、水産振興に関して消極的ではいけないというのが私の意見です。そこで、今年度から農林局が農林水産局となりました事は大きな前進だと期待をしている次第です。この事は水産業界の方々も同じ思いです。予算を見ましても、平成28年度は877万7000円だったものが今年度は2,010万8000円と対前年比約2.5倍になりましたのも大きな前進と思っています。そこで、事業の内容についていくつか質問をします。
まず、「金沢の海の幸魅力発信事業」についてです。
5月19日に「金沢のお魚のおいしさを熱く語る懇話会」が魚に関係する方々を交えて開催されましたが、全7回の開催を予定していると聞きます。
この懇話会設置の意図をお聞かせください。
参加された方々と懇話会の感想を聞かせて頂きましたところ、皆さん意義ある懇話会だとおっしゃっていました。何よりもそれぞれの立場で意見交換出来た事が良かったようで、魚を扱うという共通点はあるものの立場が違えば、考えや求めるものが違うという事が分かり、とても参考になったと言われていました。また、今後の進め方として議論を絞っていく必要があるというご意見も頂戴しました。残り6回の懇話会をどのように進めていくのかお聞かせ下さい。

次に、「食育を通じた水産物の消費拡大」事業についてお聞かせ下さい。
魚に関する食育講座や講習会を開催とありますが、これに類似した取り組みをしているところが県内にはいくつかあります。卸売市場には「金沢おさか普及協会」があり、県漁協では「水産振興事業団」があり、県でも類似の取り組みを行っています。現状、それぞれに活動をしていますが、私はこれらの事業を1本化することでより大きな成果が得られるのではないかと思っております。1本化のためには行政が先導するのがまとまりやすく、この場合県が主導的立場で進めて頂ければ事はスムーズにいくと思うのですが、その期待を持つのは難しいと思っています。一方、本市と県漁協の関係は良好で、今年度は小学5年生の社会科の副読本を協動で作成するなど、とても良い関係が築けています事から、本市がイニシアチブをとって、1本化に向けた取り組みを進めてはどうかと思います。

一本化の取り組みに大きな成果を望む背景には、魚の消費量が年々減っている事にあり、危機感を持っているからです。水産庁が公表している都道府県庁所在郡市別生鮮魚介類1人当たり購入数量のデーター見る限りでは、全国上位5位が青森市、鳥取市、秋田市、金沢市、松江市となっています。また、昭和55年から平成21年の約30年間の推移を見ますと、上位5市は例外なく約30%減となっています。一方で肉は消費量が増えていることから、魚から肉に消費が変わったとも言えますし、食の多様化も原因の一つでしょう。ただ、本市においては北陸新幹線金沢駅開業により回転寿司をはじめ多くの魚介類を扱うお店の業績が好調のため、魚の消費量は増えていると思われますが、これは観光客の消費が押し上げているのであって、市民の魚離れは依然として深刻な状況です。
魚介類は、カルシウムやミネラル、ビタミン類といった栄養素の宝庫です。中でも、魚の脂質に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)は脳や神経組織の発達に、EPA(エイコサペンタエン酸)は血栓の予防に効果があることが知られていますから、世代を問わず食して欲しいと願っており、特に成長盛りの子供達に食べて欲しいと思いますので、先に述べました食育に関しての様々な取り組みが大きな成果を出せるように、1本化の提案をしたわけです。
ここで、業界と行政が連携をして成果を出している参考事例として小浜市の取り組みをご紹介します。
小浜市の子供達は魚の三枚おろしが出来ると市場関係者が教えてくれましたので、早々小浜市に問い合わせをしたところ、その要因として幼児の時に包丁を使って魚をさばく授業を行っていると教えてくれました。この授業は「キッズ・キッチン」という取り組みで
幼児を対象に刃のついた包丁を使い、魚や野菜を切り、火を使って料理をつくるというものです。もちろん近くには保護者がいて安全性を確保しているのですが、口も手も出してはいけないルールになっています。これは、「料理を教えず、料理で教える」という方針が基になっているようです。更に小中高生向けにも「ジュニア・キッチン」という取り組みがある他、農業・漁業体験などの取り組みもなされています。これらの他に私の興味をひいた事業が、「校区内型地産地消学校給食」という取り組みです。これは、地域の生産者団体の協力により、地場産野菜を使った学校給食を提供するというものです。給食前には校内放送で「本日の食材の若狭カンランは〇〇おじさんの畑で収穫されたものです。」といった放送を流して、生産者の顔が見る学校給食を実施しています。
小浜市が食育に関して大変熱心な背景には、2001年に全国初の食をテーマにした条例「食のまちづくり条例」を制定したという事があげられます。この条例制定にともない庁内に「食のまちづくり課」を新設し、食の専門家を配置するなどして、食をまちづくりのツールとして活かした取り組みを行っています。小浜市と本市では行政規模が違いすぎますので一概に参考になると思いませんが、本市にとっても食は重要なツールであることは間違いありません。その意味では金沢の食文化とまちづくりは密接に関係するべきではないでしょうか。そして、まちづくりの主役である市民に金沢の食文化を理解してもらう方法としてどのような取り組みを行っているのか合わせて、市長にお伺いします。

ふるさと投資について

「ふるさと納税」はよく耳にしますが、「ふるさと投資」という言葉にはなじみが薄いと思われます。本市においても「ふるさと投資」は取り組んでいないとの事でした。
「ふるさと投資」とは、地域資源の活用やブランド化など地方創生などの地域活性化に資する取り組みを支える様々な事業に対して、クラウドファンディングなどの手法を用いた小口投資の事であり、そのメリットは、具体的なプロジェクトのための資金調達ができるであるとか、地域金融機関等民間の力も活用しながら、官民協動でプロジェクト創生を図ることが出来るといったメリットがあります。
「ふるさと投資」と「ふるさと納税」の大きな違いは、「ふるさと納税」は、納税者は返礼品を受け取って終わりですが、「ふるさと投資」では、投資者はプロジェクトを応援したくて資金提供をしているので、プロジェットの良き理解者となり、プロジェクトへのアドバイスやSNSなどを使って積極的に発信してくれる事から、単なる資金集めに終わらないといったのがこの制度の最大の魅力だと思っています。
この「ふるさと投資」が注目されましたのが、東日本大震災でした。被災した企業は復旧のための設備購入資金や運転資金の調達を銀行から借入できなかったのでクラウドファンディングに頼りましたところ、資金調達達成以外に思わぬ出来事が起きました。被災によって販売先を失った食品加工業会社の事例では、クラウドファンディングの資金提供者が資金提供以外に顧客となってくれた事で、新たな販売先を開拓することが出来た他、販売先が全国に広がったそうです。この事例では、資金提供者は資金提供に留まらず「ファン」として継続的に商品を購入し、知人にも紹介してくれています。これまでの「ふるさと納税」のように返礼品目当ての資金調達ではこのような出来事は起きません。
政府も「ふるさと投資」に注目をしており、平成26年10月に、先進的な取り組みをしている地方公共団体や地域金融機関、仲介事業者等を構成員として、「ふるさと投資」連絡会議が事務局を内閣官房に置き、設置されました。「ふるさと投資」は「ふるさと納税」のような他の自治体への寄付リスクはなく、納税額は確保できる他、官民協動でプロジェクト創生を図ることが出来るのが特徴です。
ところで、「ふるさと投資」は先に述べましたようにクラウドファンディングの手法をとるのですが、日本ではまだまだ認知度が低く理解をされていません。それでも、「ふるさと投資」をクラウドファンディングでやっている自治体は増えてきており、都道府県では34 市区では133 で運用されています。ここで、その成功事例を紹介します。山野市長もよくご存知の別府市の長野市長が提案した「湯~園地」です。この「湯~園地」ですが、ユーチューブの動画によって今や全国で知られています。
市長はこの動画を見ましたか?見ているとしましたらどのような感想を持ちましたか?

長野市長は「湯~園地」プロジェクトの資金1000万円をクラウドファンディングで集める事にしました。その結果、現在集まっている金額はなんと約5200万円です。目標金額の5倍に達しました。現在も資金提供者は現れこの額は日に日に増えています。そして驚くことに5200万円の内訳ですが、クラウドファンディングで集まったお金は約3000万円で残りの2200万円は、なんと、地元企業や市民が自発的に寄付をしてくれているそうです。中には市庁舎に直接現金を持ってくる市民の方もおられるそうで、なんと言って持ってくるかと申しますと「わしらも別府のために役立ちたいから、これ使ってくれ」と。これまでにない光景に市役所職員も驚き、市民のプロジェクトに対する期待の高さから職員の結束力が強まったそうです。ただ、この現象はクラウドファンディングの効果だけではなく、ユーチューブ動画が全国のマスコミに取り上げられ、別府が一躍有名になったことに加えて、長野市長の「やっちまった」発言が大きく影響していると思いますが、来月行われる「湯~園地」プロジェクトは大成功に終わる事間違いなしといるでしょう。
もう1件ご紹介します。鎌倉市の事例です。
鎌倉市の松尾市長の事も山野市長はよくご存知だと思いますが、「かまくら想いプロジェット」を発案し、クラウドファンディングで資金調達する事にしました。目標額は100万円です。このプロジェクトは新たな観光ルート板を設置するというもので、1人1万円で100口募集しましたところ、あっというまに完売しました。クラウドファンディングでは資金提供者のメリットとして、「購入型」「寄付型」「投資型」と3パターンあり、今回の場合は「購入型」で行われ、資金提供した方は何を買われたかと言いますと、作成した観光ルート板にご自身の名前を刻む事の出来る権利を1万円で購入したということです。このプロジェクトも単に資金を集めただけに留まらず、資金提供者はプレートに刻まれたご自身の名前を確認するために、間違いなく鎌倉を訪ねるでしょう。この成功に引き続き新プロジェクトとして、今度は「鎌倉これあらた(維新)」をスタートさせました。
このようにクラウドファンディングを活用した「ふるさと投資」は「ふるさと納税」のように単に資金を集めるに留まらず、地域の活性化に繋がっています。そのため、今後多くの自治体で運用すると予想される事から、本市においても運用に向けて検討してはどうでしょうか。例えば、福田議員も質問しましたが、加賀友禅大使への支援だとか若手工芸作家育成への支援であるとか、更には芸子さんのお稽古代の支援など、本市らしい伝統文化に関わるプロジェクトを提案すれば、きっと多くの理解者が現れると思いますがいかがですか。
「ふるさと投資」での資金集めを考えてみては。

金沢外環状道路並びに大宮川改修事業について

まず、金沢外環状道路海側幹線の整備についてお聞きします。
金沢外環状道路は、都心部の交通渋滞の緩和に貢献するもので、一刻も早い完成が望まれるところですが、これまで山側幹線は平成18年に全線供用が開始され、市街地の渋滞緩和に大きな効果がありました。その後、東部環状道路は4車線化工事が進められ、今年度中に神谷内から東長江町区間の完成を目指すとの事であり、早期の完成供用を期待しているものであります。一方、海側幹線については、これまで1期から3期区間の側道部が供用開始しており、残るは4期区間の供用開始が望まれているところです。そのような中で今回、国庫補助金の増額補正により、海側幹線4期区間において約9億円の予算を前倒しするとの事ですが、その事からいくつか質問をします。
一つ目は、海側幹線4期区間の事業経緯と現在の整備状況をお聞かせ下さい。
毎日、海側幹線の工事状況を眺めてきましたが、これまで田んぼしかなかったところに盛り土や橋が架けられ、海側幹線がこの場所を通ると分かるまでになってきました。地元の者として一日も早い完成を望むものです。
二つ目は、今回、国庫補助金が増額補正されたとのことですが、その補正を受けて、具体的にどのような整備がなされるのでしょうか。
そして、三つ目として、完成に向けた今後の見通しについてもお聞かせ下さい。

続いて、大宮川改修事業についてお聞きします。
大宮川は、地元住民以外ではあまり知られていませんが、沖町から河北潟に流入する河川であり、上流部分での宅地化などによって降った雨が短時間に川へ流れ込み、そのことでおきる浸水被害が慢性化していることから、改修事業がスタートしました。
この事業は、昭和60年より川の拡幅・改修が始まり、これまでに河北潟の河口から東山内灘線までの1期区間の改修が完了しているものの、引き続き、周辺地域の浸水対策を進めるためにも、2期区間である東蚊爪町・大浦町地内での早期改修が望まれるものであります。
今回、金沢外環状道路と同様に国庫補助金の増額補正に伴い、大宮川改修事業を含め約3億円の予算を前倒しするとのことを受けていくつか質問をします。
大宮川改修事業の現在までの整備状況並びに今回の補正額での具体的な整備内容及び完成に向けた今後の見通しをお聞きします。

このような大型事業の進捗は、国庫補助金次第といった側面がある訳ですが、「コンクリートから人へ」と言われた平成22年から24年は大変厳しいものでした。平成23年度の道路局の国庫補助金は約5億円となり、平成21年の麻生政権の時の約11億の半額となってしまいました。その後、自民党が政権を奪還し安倍政権での平成25年度では約23億円に大幅アップしました。昨年度も約19億円確保でき、アベノミクスの効果が地方自治体の予算に大きく影響している事がよく分かります。安倍首相には引き続き経済政策を積極的に取り組んで頂きたいと思います。

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