政府は海外から日本に対する投資を増やすための新たな戦略を立てるそうです。
その目的は、外資の知識や販路と組み合わせることで地域経済を活性化させようとするものです。
これまで外資の投資先は大半が都市部でした。
それがこれからは地方に向けられるということです。
その理由は、事業継承を検討する中堅・中小企業の買収や訪日客の再拡大を見込んだ観光資源への投資だそうです。
聞こえの良い言いまわしですが危険な文言があります。
※事業継承を検討する中堅・中小企業の買収
これはつまり高い技術力を持った地方の中小企業を外資に買いやすくするといった内容です。
地方の中小企業は、企業と地域は一体であるという理念のもと、地域を良くしたいと願って技術革新を積み重ねてきました。
一方外資はというと、一番の関心事は株主への配当です。
つまり、地域貢献よりも儲けがなにより重要なのです。
政府は、民間の知恵を活用することが良いことだとして、規制改革推進会議でどんどん民間に窓口を広げてきています。
行政が担わなくてもよい事業があることは事実ですが、行政が担わなくてはいけない事業があるということを理解していません。
例えば、水・食料といった生きることにつながることは営利追求の民間に窓口を開くべきでないと考えています。
ところが、政府は2018年4月に水道法を改正し、同年種子法を廃止しました。更に、先の国会で見送りになった種苗法の改正を次の国会に再提出しようとしています。
この他にも漁業法や卸売市場法の改正など、農林漁や市場にも民間(外資)が進出しやすいように法改正してきました。
今はまだ、これらの法改正が我々の生活に悪影響を及ぼしてはいませんが、海外の事例を見ると楽観は出来ません。
外資から地域を食物にされないためには、地方の首長・地方議員の役割が今後一層重要になってきます。
一例をいえば、国は種子法を廃止したが、現場の地方では日本古来から伝わる種子が守れない恐れが出たということで、米どころの新潟県を最初に種子法に代わる「県主要農作物種子条例」がいくつもの県で制定しはじめました。
地方議会が機能したことで日本の固有種が守られた事例といっていいと思います。
この事例が示すように、地方議会は規制改革推進会議・産業競争力会議・国家戦略特区諮問会議などの動向に注視しなければいけなくなりました。
今回報道にあった「地方へ外資誘致拡大」は、一歩間違えば、地方の有力企業が培ってきた技術や地域への貢献具合。更には雇用と税収がなくなってしまう恐れがあります。
そうならないために、国会審議では、〇〇会議から提出されたうわべの報告書を鵜呑みにせずに、深いところで議論をして欲しいと思います。
それにしても、コロナで地方経済が弱っているところに、ここぞとばかり外資に窓を開くとはどういう了見でしょうか。